CTR の低下を受けてキャンペーン タイプ間で予算を移そうとしている場合は、まずGoogle 広告のキャンペーン タイプ別の無効なトラフィックのリスクを確認してください。リスクはどこでも同じではないからです。
この記事では 3 つのことを取り上げます。AI による概要と有料クリックについて独立したデータが示していること、AI による概要と AI モードの広告について Google が述べていること、そして悪質なトラフィックが入札に実際にどう影響するかです。最後に、今月実施できるチェックリストを紹介します。
AI による概要と有料クリックについてデータが示していること
AI による概要が表示される検索語句では、有料 CTR は表示されない検索語句より低く、その差は縮まりつつあります。より大きな打撃を受けているのは自然検索の結果です。以下の 3 つの調査は手法が異なるため、予測に使うひとつの数値としてではなく、傾向として読んでください。
| 調査 | サンプル | 結果 |
|---|---|---|
| Seer Interactive、2026年4月 | 53 ブランド、547 万件の検索語句、2 億 9,690 万件の有料インプレッション、2025年1月〜2026年2月 | AI による概要がある場合の有料 CTR は 14.64% から 16.21% に上昇。ない場合は 25.98% から 21.85% に低下 |
| Seer Interactive、2025年9月の更新(2025年11月公開) | 情報収集型の検索語句、3,119 語句、42 クライアント、2024年6月〜2025年9月 | AI による概要の検索語句での有料 CTR は 19.70% から 6.34% に低下(68% 減)。その他の検索語句では 19.1% から 13.04% に低下(32% 減) |
| Pew Research Center、2025年7月 | 米国の成人 900 人の閲覧データ、2025年3月 | AI による要約がある訪問では 8%、ない訪問では 15% のユーザーが従来の検索結果をクリック。要約内のリンクをクリックしたのは 1% |
出典:Seer Interactive「AIO Impact on Google CTR: 2026 Update」、Seer Interactive、2025年9月の更新(2025年11月公開)、Pew Research Center。
ここから読み取れること:
- 2 つの Seer の調査は異なる対象群を測定しています。 Seer の 2025年のデータでは、情報収集型の AI による概要の検索語句で有料 CTR が急落していました。Seer の 2026年の調査は、あらゆる意図を含むより幅広い対象群を使っているため、2025年の情報収集型の検索語句に関する調査とは直接比較できません。この対象群では、AI による概要の検索語句での有料 CTR は 14.64%(2025年1月)から 16.21%(2026年2月)へとわずかに上昇しました。Seer は 2025年の低下について、「AI による概要が多い検索語句で広告がさらに下に押しやられた」レイアウトの変更という説明の可能性を挙げていますが、原因はわかっていないとしています。
- 相関であり、因果ではありません。 Seer の 2026年の調査は、「因果関係までは主張できません。権威の高いブランドほど引用されやすいという面もあります」と注記しています。2025年の調査の有料広告のサンプルは、自然検索のサンプルよりはるかに小規模でした。
- 要約が表示されると、全体的にクリックが減ります。 Pew の調査では、AI による要約があるページでは 26%、従来の検索結果だけのページでは 16% の割合で、ユーザーが閲覧セッションを終えていました。Pew が測定したのは自然検索のリンクですが、同じ注意の移り変わりがそれらのページの広告にも影響している可能性があります。
広告が表示される場所:AI による概要と AI モードに関する Google のルール
広告を AI による概要とともに表示するかどうかは Google が決めるもので、そのプレースメントをターゲットにすることも除外することもできません。Google のヘルプページ「広告と AI による概要について」では、次のルールが示されています。
| 質問 | Google の回答 |
|---|---|
| 広告はどこに表示されますか? | AI による概要が利用できる 200 以上の市場では AI による概要の上または下に、一部の市場では AI による概要の中に表示される |
| AI による概要の中に表示できる広告は? | 既存の検索、ショッピング、P-MAX キャンペーンのテキスト広告とショッピング広告 |
| AI による概要の中の広告に対応する市場は? | オーストラリア、カナダ、インド、インドネシア、ケニア、マレーシア、ニュージーランド、ナイジェリア、パキスタン、フィリピン、シンガポール、米国のモバイルとパソコンの英語版 |
| 対象外のカテゴリはありますか? | アダルト、アルコール、ギャンブル、金融、ヘルスケア、政治などのセンシティブな業種では、AI による概要の中に広告は表示されない |
| 個別のレポートはありますか? | いいえ:「現在 Google 広告では、検索の AI による概要の中に広告が表示された場合の分割レポートは提供していません」 |
| ターゲット設定や表示の拒否はできますか? | いいえ:「AI による概要での広告配信を拒否することはできません」 |
AI モードは、Google の対話型の検索体験です。2025年5月に AI モードでの広告のテストを発表した際、Google は「検索向け AI Max キャンペーンを含む、インテント マッチを使用した P-MAX、ショッピング、検索キャンペーン」を利用する広告主が、AI による概要と AI モードの対象になると述べました(Google Ads & Commerce Blog、2025年)。2026年5月には、AI モードで 2 つの新しい広告フォーマット、Conversational Discovery 広告と Highlighted Answers(ハイライトされた回答)をテストしていると発表しました(Google Ads & Commerce Blog、2026年5月20日)。AI による概要の中に広告を表示する資格は、インテント マッチ、AI Max、P-MAX、ショッピング、動的検索広告(DSA)のいずれかと結び付いています(Google 広告ヘルプ:広告と AI による概要について)。そして Google は検索キャンペーンを AI Max へと移行させつつあります(動的検索広告の AI Max への移行に関する記事をご覧ください)。つまり、レポートに個別の項目がないまま、予算のより多くが AI 検索面に使われる可能性があるということです。
実務上の結論:Google 広告は AI による概要の影響を直接見せてくれないため、検索語句レベルのデータから推測する必要があります。
悪質なトラフィックが入札を実際に損なう仕組み
スマート自動入札が学習するのは、分析上のセッションではなくコンバージョンです。Google はスマート自動入札を「すべてのオークションでコンバージョン数またはコンバージョン値を最適化する」戦略と説明し、「コンバージョントラッキングを有効にしておく必要があります」と注記しています(Google 広告ヘルプ:スマート自動入札について)。オークションの時点では、デバイス、地域、時間、ブラウザ、検索語句などのシグナルを使います。
このことで、どの種類の悪質なトラフィックが問題になるかが変わります。
| 悪質なトラフィックの種類 | コスト | スマート自動入札への影響 |
|---|---|---|
| Google が除外する無効なクリック | Google によれば請求されない | 指標から除外される |
| Google が見逃したボットのクリック(コンバージョンなし) | クリックの料金を支払う | 学習元となるコンバージョンがない。セグメントの測定上のコンバージョン率を下げることはあるが、入札がさらにボットを探すようになるわけではない |
| ボットやスパムによるコンバージョン(フォーム送信、電話) | クリックの料金とフォローアップの時間を支払う | 成功として数えられ、入札は同様のトラフィックを探すようになる |
| 実在の人による、コンバージョンとして数えられた質の低いリード | クリックの料金と営業の時間を支払う | 上と同じ:入札はそれを成果として扱う |
| メインのコンバージョンとしてインポートされた GA4 のイベント(エンゲージのあったセッションなど) | イベントによって異なる | そのイベントを発生させたボットはすべてコンバージョンになる |
したがって、損害につながる経路は「AI のクローラーがセッションを生み、スマート自動入札がそこから学習する」ことではありません。偽のコンバージョンや質の低いコンバージョンが、メインのコンバージョンとして数えられることです。偽のリードがスマート自動入札を学習させる仕組みのガイドでは対策を詳しく取り上げ、無効なトラフィックがリードの質を損なう仕組みではより広いパターンを取り上げています。
自動化されたトラフィックは増えているのか? ウェブ全体で見れば、増えています。Thales(Imperva)の 2026年版 Bad Bot Report によると、インターネットのトラフィックの 53% をボットが占め、40% が悪質なボットに分類されました(Thales、2026 Bad Bot Report)。この数値はウェブのトラフィック全体を対象としたもので、有料クリックに限ったものではありません。AI の回答を作るためにページを取得するクローラーは、広告をクリックしない限り有料クリックを発生させません。また、AI による概要によって広告の無効なクリックが増えることを示す公開データを、私たちは把握していません。ユーザーの代わりに閲覧やクリックを行う AI エージェントは別の問題で、AI エージェントのクリックと無効なトラフィックに関する記事で取り上げています。
最も影響を受けやすいアカウント
影響の大きさは、広告費のどれだけが情報収集型の検索語句に使われているか、そしてコンバージョンデータがどれだけクリーンかによって決まります。
| アカウントの種類 | 主なリスク | 理由 |
|---|---|---|
| インテント マッチや AI Max を多用 | 検索語句の構成の変化、見えない AI 検索面での広告費 | 幅広いマッチングは、AI による概要が最も多く表示される情報収集型の検索語句により多く届く |
| P-MAX | 限られた可視性 | AI による概要と AI モードの対象になるが、それらのプレースメントの個別レポートはない |
| リード獲得 | 偽のリードに向けた入札 | フォームの送信がメインのコンバージョンとして数えられている場合、ボットや質の低いリードが入札に誤った学習をさせる |
| 金融、ヘルスケアなどのセンシティブな業種 | 概要内での広告露出が少ない | Google はこれらの業種では AI による概要の中に広告を表示しないが、上または下には表示されることがある |
| 取引型の語句での完全一致とフレーズ一致 | 低い | AI による概要が最も多く表示される情報収集型の検索語句への露出が少ない |
チェックリスト:今月確認し、変更すべきこと
- 検索語句を情報収集型(方法、とは、理由、比較、レビュー)と取引型(価格、見積もり、購入、近く)に分け、過去 12 か月の CTR とコンバージョン率を比較する。
- 検索広告のインプレッション シェアを、検索広告のインプレッション シェア損失率(ランク)および(予算)と比較し、入札単価や予算の問題なのか、検索語句の母数が縮小しているのかを見分ける。
- すべてのコンバージョン アクションとそのステータスを一覧にする。未精査のフォーム送信、ページビュー、GA4 のエンゲージメント イベントは、メインではなくサブにする。
- オフライン コンバージョンのインポートまたはリードの拡張コンバージョンを使い、有望なリードや成約したリードをメインのコンバージョンとしてインポートする。
- 偽とわかっているコンバージョンは、コンバージョン調整で取り消す。Google 広告はマイナスのコンバージョン値を受け付けない。
- CRM のデータで売上につながっていない情報収集型の検索語句に、除外キーワードを追加する。
- [無効なクリック]列を追加し、「Invalid Activity Credit Report: Search & PMax」(検索・P-MAX の無効なアクティビティのクレジット レポート)を確認する。
- Google の調査期間内に証拠を示せるよう、クリックログを少なくとも 60 日間保存する。
効果のある調整:
- 意図ごとにキャンペーンを分ける。 取引型の語句は専用のキャンペーンにまとめ、情報収集型の CTR の低下が混合した平均値の中に埋もれないようにします。
- AI 検索面は有望なリードで評価する。 Google 広告は AI による概要のプレースメントを個別にレポートしないため、マッチングを広げる前と後で、キャンペーンと検索語句のテーマごとに有望なリードあたりの費用を追跡します。
- CTR が変化しても目標値をリセットしない。 情報収集型の検索語句で CTR が低いということは、同じインプレッション数でクリック数が少ないということです。入札単価が間違っているという意味ではありません。まず検索語句の構成を修正してください。
ClickFortify の役割
ClickFortify は、AI による概要の見た目や、ユーザーのクリック頻度を変えるものではありません。ClickFortify が扱うのは、どの検索面から来たものであれ、料金を支払うクリックです。Google 検索向けの ClickFortify は、すべてのクリックに行動、デバイス、ネットワークに関する数十のシグナルでリアルタイムにスコアを付け、不正な IP を Google 広告の IP 除外に自動的に追加し、Google のネイティブ API を通じて検索、ショッピング、P-MAX(AI による概要の中の広告の対象となるキャンペーン タイプ)をカバーします。すべてのブロックは、その根拠となったシグナルとともに記録されます。
偽のリードをメインのコンバージョンから締め出すのは、上で説明したとおり、引き続きコンバージョン設定の役割です。それによって、スマート自動入札が偽のリードから学習するのを防げます。



