このガイドは、問題が起きる前にアカウントを整えるためのものです。いま疑わしいクリックの急増を目の当たりにしているなら、まず不正クリックへの 24 時間対応計画から始め、状況が落ち着いてからここに戻ってください。不正の種類と警告サインの全体像は、Google 広告の不正ガイドをご覧ください。
予防にできること、できないこと
予防によって変わるのは、今後どのオークションに広告が参加するか、そして入札がどのコンバージョンから学習するかです。すでに発生したクリックへの支出を取り消すことはできません。不正クリックに関するアドバイスの多くはこの 2 つを混同しているので、違いを意識しておいてください。
まず、Google がすでに行っているとしていることです。Google の無効なクリックのページには、自動システムが検出した「無効なクリックやインプレッションに対しては請求されません」と書かれています。請求後に無効なアクティビティが見つかった場合は、「適切かつ可能な場合は、次回の請求書でクレジット」が付与されます。フィルタをすり抜けたものがあると思われる場合は、Google の無効なトラフィックについてのページによると調査を依頼できますが、「Google による調査の対象は過去 60 日間に限られます」。
ここから 2 つのことがわかります。
- 除外は今後に対してのみ有効です。IP、プレースメント、地域の除外は、その時点以降、その流入元への広告配信を止めます。問題を明らかにしたクリックはすでに発生しており、その費用が戻るかどうかは Google のフィルタかクレジットの申請次第です。
- Google のフィルタが判定するのはクリックであり、リードではありません。フォーム送信がボットや競合他社によるものだったことを、Google が知る方法はありません。偽のコンバージョンを入札から締め出すのは広告主の役割であり、長期的な損害の大半はここで生じます。
| 層 | 防げること | できないこと |
|---|---|---|
| 地域とネットワークの設定 | 実際の市場の外や、質の低いパートナーのトラフィックへの広告配信 | ターゲット地域の内部から発生する不正を止めること |
| プレースメントの除外 | リードを一度も生まないサイト、アプリ、チャネルへの繰り返しの支出 | 除外するプレースメントが存在しない検索広告で役立つこと |
| マッチタイプと除外キーワード | 無関係な検索語句のオークションへの広告の参加 | 同じ検索語句での本物の検索ユーザーとボットの区別 |
| 正確なコンバージョンシグナル | 偽のリードを生むトラフィックをスマート自動入札が追いかけること | すでに支払ったクリックのコストを減らすこと |
| IP 除外 | 繰り返し現れることが確認された流入元への今後の広告配信 | レジデンシャル IP やモバイル IP を切り替えるボットのブロック |
| フォームとランディングページのチェック | ボットがコンバージョンとして計上されること | クリックそのものを止めること |
| 毎月の確認と自動化 | 少しずつの損失が何か月も気づかれないこと | Google の 60 日間の調査期間より前の支出の回収 |
ステップ 1:地域、ネットワーク、スケジュールの設定を実際の顧客に合わせる
まず、広告が顧客の実際にいる場所とネットワークにだけ届くようにします。これは最も安上がりな予防ステップで、数分で済みます。
地域のオプション。Google 広告には 2 つの地域設定があります。「所在地やインタレスト」は、ターゲット地域に関心を示したユーザーにも広告を届けます。Google の地域ターゲティングのヘルプは、検索広告ではこれをベスト プラクティスとして推奨しています。同じページでは、特定の地域にいるユーザーにだけ広告を届けたい場合は「所在地」を検討するよう案内しています。物理的に近くにいる人にしかサービスを提供できない地域密着型のサービス事業者であれば、通常は「所在地」のほうが適しています。旅行や転居を計画している人に販売する場合は、広いターゲティングが正しいこともあります。誰が購入できるかを基準に選び、サービス対象外の地域からのクリックがないか、地域レポートを定期的に確認してください。
検索パートナー。検索広告は Google 検索パートナーのサイトにも掲載されることがあります。アカウント内のパートナーからのトラフィックがクリックを生むのに選別済みのリードを生まないなら、そのキャンペーンでは検索パートナーをオフにしてください。両者の比較方法は、検索パートナーとリードの質のガイドで解説しています。
広告のスケジュール。ここでは、不正がいつ起きるかという一般論ではなく、自社のデータを使ってください。曜日と時間帯のレポートを、選別済みリードに関する CRM のデータと並べて確認します。ある時間帯が何か月にもわたって一貫してクリックを生むのに選別済みのリードを生まないなら、その時間帯を除外します。本物の顧客を生んでいるなら、たとえ午前 3 時でも残してください。
ステップ 2:ディスプレイ、YouTube、P-MAX 広告の掲載先を管理する
ディスプレイ、YouTube、P-MAX(Performance Max)キャンペーンでは、予防の最大の手段はプレースメントの管理です。これらのネットワークでは、1 つずつ選んだわけではないサイト、アプリ、動画に広告が表示されます。質の低いプレースメントや不正なプレースメントが現れやすいのはそこです。
一度設定し、その後は維持します。
- アカウント単位のプレースメント除外リストを作成し、すべてのディスプレイ、動画、デマンド ジェネレーション キャンペーン(Demand Gen)、P-MAX キャンペーンに適用します。
- アカウント内のアプリからのトラフィックがクリックを生むのに選別済みのリードを生まない場合は、アプリのカテゴリや特定のアプリを除外します。
- 質の低い在庫と不正は重なることが多いため、コンテンツの適合性(除外するコンテンツの種類とデリケートなカテゴリ)をブランドに合わせて設定します。
- 「広告が表示された場所」のプレースメントレポートを毎月確認し、クリックは多いのにエンゲージメントのあるセッションやリードがないプレースメントを除外します。
- P-MAX では、Google が提供している範囲でチャネルとプレースメントのレポートを確認し、ブランドとプレースメントの除外をアカウント単位で適用します。
これらのリストを作成し、キャンペーン間で共有する方法は、Google 広告の除外リストのガイドで順を追って解説しています。
ステップ 3:マッチタイプと除外キーワードを意図して選ぶ
マッチタイプを広げるほど、広告はより多くのオークションに参加します。その結果、本物の購入者も、無関係な検索も、それらの検索語句に付随する自動化されたトラフィックも、すべてが増えます。インテント マッチ(旧称:部分一致)は不正のための設定ではありませんが、コンバージョンデータの質がはるかに重要になります。追加された検索語句のどれを追いかけるかは、スマート自動入札が決めるからです。
実践的な設定例です。
- 中核となる高単価のキーワード:完全一致またはフレーズ一致にして、どの検索語句に支払っているかを把握します。
- インテント マッチまたは AI Max:ステップ 4 を整えてから使います。そうすれば、入札はフォーム送信そのものではなく選別済みのリードから学習します。
- 除外キーワードリスト:求職者向け(「採用」「求人」「給与」)、無料のものを探す人向け(「無料」「テンプレート」)、そして営業チームが決してコンバージョンしないと言う語句の共有リストです。
- 検索語句レポート:新しいキャンペーンでは毎週、その後は毎月確認し、無関係な検索語句への支出が積み上がる前に除外キーワードを追加します。
ステップ 4:本物のコンバージョンだけでスマート自動入札を学習させる
これが最も重要な予防ステップです。スマート自動入札はコンバージョンデータから学習するため、偽のコンバージョンがあると、それを生んだトラフィックをさらに買うように学習してしまいます。Google はスマート自動入札を「すべてのオークションでコンバージョン数またはコンバージョン値を最適化する」入札戦略と説明しており、スマート自動入札のヘルプページでは「コンバージョン トラッキングを有効にする必要があります」としています。コンバージョンしないクリックはお金がかかりますが、入札に同じものをさらに追いかけさせることはありません。それをさせるのは、コンバージョンとして計上されたボットのフォーム送信、迷惑電話、ゴミのようなリードです。
避けるべき方法:マイナスのコンバージョン値。一部のガイドでは、偽のリードにマイナス 50 米ドルなどのマイナスの値を付けて、アルゴリズムに「教える」ことを勧めています。Google 広告はこれに対応していません。Google のコンバージョン値のルールのドキュメントでは、加算する値と設定する値は「0 より大きくなければならない」とされ、乗数は 0.5〜10 の範囲である必要があります。正の値を持つ偽のリードは、依然としてコンバージョンとして計上されます。
代わりに効果があるのは次の方法です。
| 方法 | 効果 | 出典 |
|---|---|---|
| フォーム送信そのものや弱いイベントはサブアクションにする | サブのコンバージョン アクションはレポートには表示されますが、入札には使われません(カスタム目標に追加した場合を除く) | Google 広告ヘルプ:コンバージョン目標について |
| 選別済みのリードをメインのコンバージョンとしてインポートする | オフライン コンバージョンのインポートやリードの拡張コンバージョンを通じて、営業チームが受け入れたリードから入札が学習します | Google 広告ヘルプ:オフライン コンバージョンのインポート |
| 偽のコンバージョンを取り消す | 取り消すと値が 0.00 に設定され、コンバージョン数から除かれます。取り消しは CPA と ROAS の戦略に影響します。オンラインのコンバージョンを調整するには取引 ID が必要です | Google 広告ヘルプ:コンバージョン調整について |
| コンバージョン値のルールを正しく使う | リードの質が実際に異なる場合に、地域、デバイス、オーディエンスごとに値を上げ下げします(上記の正の範囲内で) | Google Ads API:コンバージョン値のルール |
| 偽のコンバージョンが急増した後にデータ除外を適用する | 報告されたコンバージョンが誤っていた期間のクリックを無視するようスマート自動入札に指示します。Google は使用を控えめにするよう求めています | Google 広告ヘルプ:データ除外について |
出典:コンバージョン目標について、コンバージョン調整について、データ除外について。
知っておくべき点が 2 つあります。Google によると、コンバージョンを一度取り消すと「それ以上調整することはできません」。アップロードする前にファイルを確認してください。また、データ除外は、タグ設定やインポートの問題など、何らかの原因で「Google 広告で報告されるコンバージョン数やコンバージョン値が不正確になる」場合のためのものです。Google は「データ除外を頻繁に、または長期間使用しないでください」と注意を促しています。ボットによるフォーム送信の短期的な急増はこれに当てはまります。ゴミのようなリードが絶えず少しずつ入ってくる状況は当てはまらず、代わりに選別済みリードのインポートが必要です。
リード側についてさらに詳しくは、偽のリードが Google 広告のスマート自動入札を学習させてしまう仕組みをお読みください。
ステップ 5:繰り返し現れることが確認された流入元を IP で除外し、その限界を知る
IP 除外が役立つのは特定の役割です。顧客ではないことがすでにわかったアドレスに、広告が再び配信されるのを止めることです。Google のIP 除外のヘルプページには「キャンペーンごとに最大 500 個の IP アドレスを除外できます」とあり、除外後は広告が「それらのアドレスに関連付けられたパソコンやネットワークではブロック」されます。アカウント単位の IP 除外もあり、P-MAX、デマンド ジェネレーション、検索、ショッピング、ディスプレイ、Discover、YouTube が対象です。キャンペーン単位の除外は、動画、ホテル、アプリ、P-MAX、スマート ディスプレイの各キャンペーンでは使えません。
慎重に使ってください。
- 証拠に基づいて除外します。1 つのアドレスから、意味のある期間にわたって、エンゲージメントもリードもない有料クリックが繰り返されていないかを確認し、各 IP を除外した理由を記録します。
- 顧客を除外しないでください。オフィス、大学、モバイル通信事業者では、1 つのアドレスの背後に多くの本物の人がいることがあります。アクセスの多い IP を除外する前に確認してください。
- 切り替えを想定します。レジデンシャルプロキシやモバイルネットワーク上のボットはクリックごとに IP を変えるため、単一の IP のリストでは追いつきません。このパターンはレジデンシャルプロキシに IP ブロックが効かない理由の記事で、優先順位の付け方は500 件の IP 除外上限で解説しています。
「ハニーポット」キャンペーンはどうでしょうか? 一部のガイドでは、不正を集めて調べるために、除外を設定せず強気に入札する別キャンペーンを勧めています。私たちはおすすめしません。避けようとしているトラフィックに実際の予算を使い、しかも Google がそのトラフィックの一部を除外するため得られる情報は不完全で、さらにそのキャンペーンは自社のオークションで競合します。既存のクリックログ、検索語句、プレースメントのレポートから、追加の支出なしで同じ証拠が得られます。
ステップ 6:フォームとランディングページを強化し、ボットをコンバージョンにさせない
ランディングページのチェックはクリックを止めませんが、ボットがコンバージョンになるのを止めることはでき、それが入札を守ります。ルールは単純です。Google 広告のコンバージョンは、サーバーが送信を受け付けた後にだけ発火させます。
本物の訪問者が気づくことのない実践的なチェックです。
非表示のハニーポット項目。人には見えず、ボットが入力しがちな項目を追加します。一部のボットは display:none の項目を読み飛ばすため、それではなく画面外に配置して隠します。
.hp-field {
position: absolute;
left: -9999px;
width: 1px;
height: 1px;
}
その項目に値が入っている送信は拒否するかフラグを付け、コンバージョンとして計上しないでください。
送信までの時間のチェック。フォームが読み込まれた時刻と送信された時刻を記録します。一般論ではなく実際の送信データに基づいて、フォームに合ったしきい値を決め、それより速いものはコンバージョンとして計上せずに確認に回します。
サーバー側の検証。コンバージョンが発火する前に、メールドメインがメールを受信できるか、電話番号が有効かを確認します。電話については、Google の電話コンバージョンで最低通話時間を設定でき、短い通話を計上しないようにできます。
疑わしいトラフィックだけを確認する。すべての訪問者に CAPTCHA を表示すると、本物のコンバージョン率が下がります。ほかのチェックでセッションにフラグが付いた場合にだけ表示してください。
ステップ 7:毎月アカウントを確認し、手作業が追いつかなくなったら自動化する
毎月のルーティンは、初期設定だけでは見逃す少しずつの損失を捉え、証拠を Google の 60 日間の調査期間内に保ちます。
| 毎月の確認項目 | 確認場所 | 注目すべき点 |
|---|---|---|
| 無効なクリック | キャンペーンの表に[無効なクリック]列を追加 | 通常の水準と比べた急な変化 |
| 受け取ったクレジット | レポート エディタ:Invalid Activity Credit Report: Search & PMax(検索・P-MAX の無効なアクティビティのクレジット レポート) | どのキャンペーンがクレジットを受け取っているか |
| プレースメント | 広告が表示された場所(ディスプレイ、動画、デマンド ジェネレーション、P-MAX) | クリックは多いのに、エンゲージメントのあるセッションやリードがない |
| 検索語句 | 検索語句レポート | 除外キーワードが必要な新しい無関係な検索語句 |
| キャンペーン別のリードの質 | CRM と Google 広告を並べて確認 | フォーム送信は増えているのに選別済みのリードは増えていないキャンペーン |
| クリックログ | サーバーログまたは保護ツール | 除外する価値のある繰り返し現れる流入元と、クレジット申請のための証拠 |
無効なアクティビティのクレジット レポートは検索キャンペーンと P-MAX キャンペーンで利用でき、請求期間の終了後に適用されたクレジットを表示します。Google が見逃したアクティビティを見つけた場合は、タイムスタンプ、IP、根拠を添えてクリック品質フォームを使ってください。含めるべき内容は、Google 広告の無効なクリックに対するクレジットのガイドで解説しています。
手作業の確認では足りなくなったとき。ログを手作業で確認する方法は、小規模なアカウントでは機能します。しかし、複数のキャンペーンタイプを運用する、支出が増える、多数の IP に分散した攻撃を受ける、といった状況になると追いつかなくなります。クリック単位の自動化が費用に見合うのはそのときです。Google 検索向けの ClickFortify は、行動、端末、ネットワークに関する数十のシグナルでクリックごとにリアルタイムでスコアを付け、不正な IP を Google 広告の IP 除外に自動で追加し、検索、ディスプレイ、ショッピング、YouTube、P-MAX をカバーします。すべてのブロックについて証拠の記録を残します。このガイドの冒頭で述べた限界は変わりません。自動の除外が止めるのはその流入元からの次のクリックであり、除外のきっかけとなったクリックは Google のフィルタかクレジットの申請で対応することになります。
予防チェックリスト
- 地域のオプションを、顧客が実際に購入できる場所に合わせて設定している(厳密に地域密着型の事業なら「所在地」)。
- 検索パートナーのオンとオフを、習慣ではなく選別済みリードのデータに基づいて決めている。
- アカウント単位のプレースメント除外リストを、ディスプレイ、動画、デマンド ジェネレーション、P-MAX に適用している。
- 中核となる高単価のキーワードは完全一致またはフレーズ一致にし、除外キーワードの共有リストも用意している。
- フォーム送信そのものはサブに設定し、選別済みのリードをメインのコンバージョンとしてインポートしている。
- 偽のコンバージョンを取り消す手順があり、マイナスのコンバージョン値は使っていない。
- IP 除外は繰り返し現れることが確認された流入元だけに使い、それぞれの理由を記録している。
- コンバージョンが発火する前に、ハニーポット項目、送信までの時間のチェック、サーバー側の検証を行っている。
- 無効なクリック、クレジット、プレースメント、検索語句、リードの質を毎月確認している。
予防とは、何かが起きる前に築いておく一連の層です。それでも何かがすり抜けたときは、対応計画が次のステップです。



